はじめに
突然出現した片側の腕の不随意運動。原因がディスカッションのテーマになった。
ヘミバリズムの不随意運動は見た方が早い。動画はYouTubeが参考になる。
ヘミバリズムの原因
- バリズムは、肢の近位筋に強く起こる、急速で激しい、上下肢を投げ出すような粗大な不随意運動である。一側の上下肢に起こることが多く、これをヘミバリズムという.。2)
- 病巣は反対側の視床下核にあり、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によることが多い。2)
- ルイス小体、例えば視床下核 (STN) は、損傷されると対側のヘミ舞踏病/ヘミバリズムを引き起こす可能性がある基本構造として早くから特定されていた。1)
- 対側のSTNおよび基底核内の血管および構造的病変は、依然としてヘミバリズムの最も一般的な原因である。1)
- 虚血性および出血性脳卒中が最も一般的な病因。1)
最も一般的な病因:
1) 虚血性/出血性脳卒中
2) 非ケトン性高血糖
あまり一般的でない病因(症例報告あり):
1) 脳炎
2) 血管炎
3) 中枢神経系ループス
4) エイズに関連する脳トキソプラズマ症
5) 腫瘤性病変(腫瘍/嚢胞)
6) 多発性硬化症
7) 薬剤誘発性(抗けいれん薬、レボドパ、経口避妊薬、神経遮断薬を含む)上衣嚢胞
- 原因疾患として、脳梗塞・脳出血以外では、脳動静脈奇形、原発性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、結核腫、脳炎、多発性硬化症、膠原病に伴うものなどがあるが、いずれもまれである。最近、糖尿病に伴う線条体病変によるヘミバリズムが注目されている。2)
- ヘミバリズムの自然経過は病因によって異なる。1)
- 急性ヘミバリズムを発症した患者は、病因にかかわらず経過が良好であることが認識されている。1)
- 2010年に行われた脳卒中後ヘミバリズムの患者15人を対象とした観察研究では、8人 (53%) が治療なしでヘミバリズムが急速に解消し、17か月の追跡調査で11人 (73%) の症状が完全に解消し、そのほとんどが2か月以内に解消した。1)
- 非ケトン性高血糖に続発してヘミバリズムを発症した患者では、臨床経過は良好で、高血糖が正常化すると症状が解消する傾向がある。非ケトン性高血糖に関連する舞踏病の患者53人を対象としたメタ分析では、39人で症状が完全に解消し、14人で追跡調査で改善が見られた。1)
- 薬物療法は、初期のバリズムが重度の場合に外傷を予防するだけでなく、症状が長引く患者を治療する上でも役割を果たしている。1)
- 早期治療(主に神経遮断薬またはドーパミン枯渇剤)1)
1) ハロペリドール
2) テトラベナジン
3) ピモジド
4) オランザピン
5) クロザピン
6) ベンゾジアゼピン
まずは、症状をヘミバリズム医学用語に変換できることが重要だ。今の時代、言葉で表現できれば、それだけでかなりのことを自分で調べることができる。
参考文献
- Hawley JS, Weiner WJ. Hemiballismus: current concepts and review. Parkinsonism Relat Disord. 2012 Feb;18(2):125-9. doi: 10.1016/j.parkreldis.2011.08.015. Epub 2011 Sep 17. PMID: 21930415.
- 加藤 丈夫, 5.バリズム, 日本内科学会雑誌, 2000, 89 巻, 4 号, p. 650-654.
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