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造影剤による非即時型/遅延型過敏反応

はじめに

 ある勉強会で、「遅れて出現するタイプの造影剤による過敏症は、どれくらいの日数までを想定すればよいだろうか」がテーマになった。その後、心臓カテーテル後に発熱と少し遅れて皮疹が出現した患者を診察する機会があった。

 これを機会に造影剤による非即時型/遅延型過敏反応についてまとめておこうと思う。

非即時型過敏症反応(NIHR)/遅延型過敏症反応(DHR)

  • 非即時型過敏反応(NIHR, Nonimmediate hypersensitivity reactions)、または遅延型過敏反応(DHR, delayed hypersensitivity reactions)とは、造影剤投与後1時間以上から10日以内に発生する反応を指します。1)
  • 血管内ヨード造影剤に対する晩発性有害反応は、造影剤注入後 1 時間から 1 週間以内に起こる反応と定義されます。2)
  • 最も一般的な症状は、造影剤投与後 6 時間から数日後に現れる斑状または斑状丘状の発疹 (MPE, Maculopapular exanthema) です。遅発性の蕁麻疹や血管性浮腫も発生することがあります。造影剤に対する稀ではありますが重篤な遅発性反応も報告されており、好酸球増多および全身症状を伴う薬物反応 (DRESS)、スティーブンス・ジョンソン症候群 (SJS)、中毒性表皮壊死症 (TEN) などがあります。1)
  • 血管内ヨード造影剤後の晩発性有害反応には、吐き気、嘔吐、頭痛、掻痒、発疹、筋骨格痛、発熱などの症状があります。2)
  • 造影剤投与後数時間以内に発現する可能性のあるその他の非特異的症状としては、注射部位の局所的な痛みや膨疹、全身性掻痒症、一過性の紅斑、頭痛、めまい、発熱、吐き気などがある。1)
  • ほとんどの皮膚反応は自然に治まり、1 週間以内に解消します。治療は対症療法であり、他の薬剤誘発性皮膚反応の治療と同様です。2)

 造影剤による非即時型過敏反応を考える場合、10日以内を想定しなければならない。一方で、内服薬による薬剤性過敏症症候群では4週前後で出現することも多いと思う。新たな薬剤が投与されていれば、当然、いろいろな可能性が排除できなくなる。造影剤だけに限るなら、数日後くらいまでに発症した症状なら、まあ可能性は高いと納得しやすい。現実的には、内服薬やら感染症やら、他の要因が多くなって判断が複雑になるが、基本を整理しておくことは大切。

参考文献

  1. Radiocontrast hypersensitivity: Nonimmediate (delayed) reactions. UpToDate last updated: Apr 10, 2023.
  2. Webb JA, Stacul F, Thomsen HS, Morcos SK; Members Of The Contrast Media Safety Committee Of The European Society Of Urogenital Radiology. Late adverse reactions to intravascular iodinated contrast media. Eur Radiol. 2003 Jan;13(1):181-4.

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