はじめに
2×2表を作成したときに、セルに0が含まれると無限大になったり非数値になったりする。これを防ぐのがウォルフ-ハルデイン補正だ。オッズ比を計算する場合などに用いられる。補正方法は簡単。
補正方法と使用例
ウォルフ-ハルデイン補正とは以下のように、非常にシンプルな方法だが、とても実用的な補正だと思う。
各セルに0.5を加えるというテクニック。1)
ちなみに、オッズの計算ではなく、診断精度の計算に用いる2×2表でもこの補正を用いた論文 2)もある。個人的にはこちらに興味があるので、試しにEZRで出力してみる。
例えば、表のような結果(夢のような検査結果)の検査の場合、EZRの尤度比は以下のように出力される。
疾患陽性 | 疾患陰性 | 計 | |
検査陽性 | 100 | 0 | 100 |
検査陰性 | 0 | 100 | 100 |
計 | 100 | 100 | 200 |
推定値 信頼区間下限 信頼区間上限
陽性尤度比 Inf NaN Inf
陰性尤度比 0.0 0.000 NaN
ここで、2×2表のすべてのセルに0.5を足すと、尤度比は以下のように計算される。(ウォルフ-ハルデイン補正ルフ-ハルデイン補正後)
疾患陽性 | 疾患陰性 | 計 | |
検査陽性 | 100.5 | 0.5 | 101 |
検査陰性 | 0.5 | 100.5 | 101 |
計 | 101 | 101 | 202 |
推定値 信頼区間下限 信頼区間上限
陽性尤度比 201.000 12.659 3191.599
陰性尤度比 0.005 0.000 0.079
結局のところ、nが少ないからセルが埋まらないという現象だと思うが、そうはいっても良くわからない文字を見せられても、それはそれで問題だと思う。
参考文献
- 中村好一. 基礎から学ぶ 楽しい疫学 第4版. 東京. 医学書院. 2020.
- Schneiders AG, Sullivan SJ, Hendrick PA, Hones BD, McMaster AR, Sugden BA, Tomlinson C. The ability of clinical tests to diagnose stress fractures: a systematic review and meta-analysis. J Orthop Sports Phys Ther. 2012 Sep;42(9):760-71.
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