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ウエスト症候群:West syndromeに対するACTHの効果

はじめに

 学生と一緒に抄読会。ウエスト症候群の少数の患者を対象としたRCT 1)。流し読んでみた。

 ちなみに、ウエスト症候群に対する薬物治療についての基本的なところは以下の通り。

  • 有効率の観点より第1選択薬はACTH治療である。2)
  • ACTH療法は最も有効な治療で、発症後早期に開始する(1カ月以内が望ましい)。3)
  • ACTH療法の副作用を考慮して、ある程度の検査結果が出るまで、他の薬物療法を先に試してもよい。3)
  • ACTH治療は副作用も多いため、まず有効性は劣るがより副作用の少ないゾニサミド、バルプロ酸、クロナゼパムやビタミンB6大量療法が試みられている。 2)
  • 一手目を開始後1~2週間で効果判定し、効果不十分なら二手目(ACTH療法)を追加する。3)

PECO

P:infantile spasms
E:corticotropin (ACTH) (150 U/m2/day)
C:prednisone (2 mg/kg/day) given for 2 weeks
O:Response required both cessation of spasms and elimination of hypsarrhythmia by the end of the 2-week treatment period

 ウエスト症候群の患者に対して、ACTHによる治療を2週間行うと、プレドニゾンによる治療を行う場合と比較して、痙攣とヒプスアリスミアが消失するかどうかを検討した論文であることが分かる。

妥当か

 抄録中にrandomized、single-blinded studyのキーワードがある。ITT解析については記載が無いが、ランダム化された29例が解析されているようだ。

結果

 反応不良例は、ACTH群で13.4%、プレドニゾン群で71.4%。

RRR:1-13.4/71.4=0.812 81%
ARR:71.4-13.4=58 58%
NNT:1/ARR=1.72 2人 2週間

Of 15 infants randomized to ACTH, 13 responded by EEG and clinical criteria (86.6%); Seizures stopped in an additional infant, but EEG remained hypsarrhythmic (considered a failure). Four of the 14 patients given prednisone responded (28.6%, with complete clinical-EEG correlation), significantly less than with ACTH, (chi2 test).

 ウエスト症候群、あまり馴染みがない疾患だが、両親の不安は痛いほど想像できる。

参考文献

  1. Baram TZ, Mitchell WG, Tournay A, Snead OC, Hanson RA, Horton EJ. High-dose corticotropin (ACTH) versus prednisone for infantile spasms: a prospective,randomized, blinded study. Pediatrics. 1996 Mar;97(3):375-9.
  2. ウエスト症候群. 難病情報センター. https://www.nanbyou.or.jp/entry/4415
  3. 下田木の実. ウエスト症候群 (点頭てんかん). 日本医事新報 (5105): 51-53, 2022.

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